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28)gnjoy<バンダイ 1/144 ズゴックE>

gnjoy01.jpg

作品名「虫かごの中の思い出」

【作品解説】
・本体=旧キット「ポケットの中の戦争」より[ズゴックE]1/144
・ケース=虫かご
・全て「シタデルカラー」による筆塗り
・カメラアイ周辺=「HiQパーツ」製LEDセット
・「ナニワネジ」適宜使用しています。
・排水ダクトからの排水表現は「透明ランナー」をヒートペンにて加工しました。
・水表現=「KATOリアリスティックウォーター」&「SUNTORY白州シングルモルト10年」少量(風味付け)

gnjoy02.jpg

ダイバーA「おーい、そっちは、見つかったか~?」
ダイバーB「いや、今日も…」
ダイバーC「俺たち、あれからずっと探してるよなぁ…。
もう見つからないかな…。」
ダイバーD「俺たちはいつから探し始めたのだろう…。」

あれは、小学2年の夏休みのことだった。

夏休みはいつも、お盆休みに父の田舎へ帰省していた。
農家だった祖父は、私たちが帰ってくるととても喜び、いつもありったけのもてなしで歓迎してくれた。
スイカやアイスクリームはもちろん、たくさんのお菓子も用意して待っていてくれた。
しかし、近所は見渡す限り、田んぼ、田んぼ、田んぼ・・・。
街で遊び慣れている自分や妹には、田舎で3日間過ごすことは、退屈な時間がすぐに始まることを意味する。
見かねた祖父は、用意していた虫捕り網と虫カゴを出し、「カブトムシをとりに行こう」と誘う。
しかし、思いつきでそこらの林に行ったところでなかなかとれない。いや、カブトムシは実際いなかった・・・。
もともと祖父は、子どもと接するのが得意なほうではなかった。いや、苦手なほうだ。
それでも、たまにしか会えない孫たちをなんとか喜ばせたくて仕方ない、
その思いは子どもの自分たちにも痛いほど伝わってきた。

gnjoy03.jpg

空っぽの虫カゴを抱え、つまんなそうにしている俺と妹を、祖父は中古で買ったばかりのシビックに乗せ、町一番のスーパーに連れ出した。シビックの中では演歌がガンガンかかっていた。
その演歌のサビを妹と少し口ずさむと、「そうか、この歌が気に入ったか!」と、それまで不安そうだった祖父が初めて笑顔を見せた。
スーパーに着くと、妹と一緒に玩具コーナーに走った。

そこで俺は、後に自分の一生の趣味となるものと出会う・・・。

「何でも好きな物を買ってあげるよ!」
今考えると、とんでもなく甘やかしの言葉につられ、妹はすぐにキャラクター人形を手にする。
俺が手にとったのは、今をときめくガンプラ、「量産型ズゴック」。
学校でガンプラが流行っているのは知っていたが、お小遣いの少なさと、入手困難ということもあり、
ガンプラをまだ手にしたことはなかった。
まさか、こんなところで手にできるとは・・・。

祖父はタミヤの「零戦」をしきりに勧めたが、俺はズゴックを離さなかった。
仕方なく、妹の人形と俺のズゴック、そして零戦がレジに持ち込まれた。

gnjoy04.jpg

帰宅して、晩御飯のカレーが出来上がるまでに夢中で組み立てた。
祖父も横で零戦を作り始めた。もともと手先が器用ではない祖父は初めて作るプラモデルに悪戦苦闘。
黄色いセメダインがはみ出た濃緑の成形色の零戦は不気味なものにさえ見えた。


そして、約一時間後。

「できた!」

あまりの嬉しさに熱々のカレーか運ばれてきた食卓の上で俺とズゴックはずっと遊んでいた。
すると父や母、祖母までもが「そろそろ片付けて、ご飯を食べなさい!」と言う。
しぶしぶと、空っぽの虫カゴにズゴックを入れる俺。
見かねた祖父は、バツが悪そうにコッソリ話しかけてきた。
祖父「○ちゃん、そのロボット、頭がないね? まだ完成してないっちゃないと?」
俺「あ?これはこういう形よ。じいちゃん、何も知らんちゃね?バカじゃないと!」
子どもながらに、つい口をついて出てしまった悪態。
祖父「そうか、そういうロボットか。あぁ、じいちゃんはバカか・・・。」
俺「うん、じいちゃんはバカ!」
寂しそうに頷きながら、祖父はカレーを一口食べた。
翌日、俺は虫カゴの中にズゴックを入れて家族と共に祖父の家を後にした。
心なしか、祖父の表情は出迎えてくれた時よりも寂しそうに見えた。

それから2ヶ月後、祖父は脳梗塞で突然倒れ、帰らぬ人となりました。

それ以来、ズゴックを見る度に、切ない思いと、「何で俺、あんな事言ったかな~。俺がバカ!」と、
後悔の念でいっぱいになります。

もちろん、タミヤの零戦は未だに作ったことがありません。

gnjoy05.jpg


「じいちゃん、ズゴックに頭はついてるよ、ここだよ、ほら。コレが目だよ!」

「こういうロボットなんだよね。かっこいいでしょ? こんなのが今、学校で流行ってるんだよ。」

「今度一緒に零戦作りたいな。 じいちゃん、一緒に作ろうよ。」

「明日の朝は早起きして、もう一度カブトムシとりにいってみようよ!」


あの時、こんな言葉の一つでも言えればよかったな。と、今でも思います。

gnjoy06.jpg

そんな切ない思い出と共に、今の模型趣味が続いてます。
その時にはまさか、こんなにも長くプラモデルとの付き合いが長くなるとは思いもしませんでした。
私の模型人生で、ズゴックは原点であり、いつまでも完成することのない作品です。
あれから時代も変わり、HGUCズゴック等も製作しましたが、作る度に、何か忘れ物をしてきたような気がします。
そんな気持ちと、切ない思い出を今回の作品に投影しました。
じいちゃんに言い忘れた一言、優しい言葉かけ、そんなものをダイバー達が必死に探し続け、頭部は未だに未完成です。
本体にはランダムな塗装を施し「いまだ夢の途中である」という意味も込め表現しました。

いつか、じいちゃんがあの日作ってた「零戦」を作ってみたいと思います。

「じいちゃん、プラモデルと出会わせてくれて、ありがとう!」

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非公開コメント

泣けました(T_T)

いやー、プラモはドラマだな。ドキュメンタリーだな。
人の数だけ思い出があり、模型の数だけ夢があるんです。
自分も人に夢や思い出を与えられるオッサンになりたいです!

不覚!

文章を読んで眼がうるんでしまいました。

僕も亡くなったおじさんに、とあることでそっけない態度を取った事があって、今でも後悔しています。

酒餅で泣かすのは反則ですよ・・・

ううぅ・・(涙)

これは泣けます!!!!!!!!(TωT;

熱いメッセージが込められているんですね・・・

完全に負けました!!!

コメントありがとうございます

トシキ様コメントいただきありがとうございます。
今月からまた多忙になり、まだ全作品を観れていないのですが、今回は素敵なコンペを開催していただきありがとうございました。
「うまいとか下手とかではなく、楽しんでやろうよ!」というコンセプトがとてもよかったと思いますし、「それこそが模型趣味の本質だなぁ」と再確認させられました。
たまたま今回は文章説明が感傷的なものにはなりましたが、製作自体は大変楽しく作らせていただきました。
この度はこのようなコンペに参加させていただき、本当にありがとうございました。

コメント有難うございます。

ざく太郎様、いつもコメント有難うございます。せっかくの晴れ晴れしい舞台で、こんな感傷的な文章載せてすみませんでした^^; 作品自体は、自分にとって、新しいことに挑戦したこともあり、たいへん楽しく作ることができました。これからは作品の完成度が上げられるよう精進していきます。有難うございました。

コメント有難うございます。

ヤス様コメント有難うございます。
はじめまして。
失ったものに対して、または過ぎ去ったことに対してウジウジしているのもなんだし、まだまだ過去を懐かしみながら生きていくには先が長いですので、それはそれとして、経験として活かしながら自分の人生を歩んでいくしかないですよね(^_-)
このコンペの趣旨と同じく、人生、楽しんだもん勝ちですよ!

No title

泣ける (T_T)
オッサンになって涙腺が緩くなってるんで余計です…
作品にこんなメッセージが込められてるなんて…
素晴らしいと思いました。

コメント有難うございます。

JOSE26様コメント有難うございます。
作品にメッセージ性を強く持たせてしまったのは、今回が初めてであり、今までは好きなように、思いつくままに作っていました。
今回のような製作の仕方は、自分でゼロからインスピレーションを得るための一つの方法かなと気づいたところです。
まぁ、ズゴックと、じいちゃんに感謝です^^;
いまだにプラモデルで遊んでられるのですから(^_-)

いろんな意味で表現者だなあ

虫かごも、ズゴックにも、ダイバーにも意味があるという
この作品の表現というのが面白く、また、排水パイプから
放たれる滝のような水流がすばらしく、やっぱり酒餅ってー
のは、大人のイベントだなと思いました。

No title

http://www.fg-site.net/products/148235

とめぞう様コメントありがとうございます。
身に余るお言葉、感謝です^^

他の方の作品を今拝見しているところですが、皆さんそれぞれに技術が高く、とても私如きが参加できるようなコンペではなかったなと後悔しているところです^^

「表現したいものをきちんと表現できるよう、相手にきちんと伝えられるスキル獲得のため」これから精進していきたいと思います。

No title

涙,涙,涙です。
機体から勢いよく流れ出る水は
製作者様の悲しみを表しているのかな
という勝手な想像までしてしまいました。
いろいろな物語が感じ取れる
素敵な『虫かご』ですね。

No title

>機体から勢いよく流れ出る水は
製作者様の悲しみを表しているのかな

見られる方がいろんなことを想像していただけると製作冥利に尽きますね。
素敵なご感想ありがとうございます。

思い入れがスゴイ!

こういうアプローチもあるんですね。
本当に酒餅の意味を感じさせていただける作品を見せていただきました。
自分もある思い出を思い出しながら文章と作品を見させていただきました。ありがとうございます。
製作お疲れさまでした。

名前間違えてました。

ありがとうございます。

KAMISA様、コメント有難うございます。
プラモデルのコンペなのに、プラモデルについてではなく、説明文章のほうにスポットライトがあたるような作品を出品してしまった自分に後悔しています^^;

No title

バックグラウンドのストーリーと作品のクオリティが高次元で融合してて泣きそうになっちゃいました。
細かい部分まで作りこんであったり、虫かごを効果的に使われていたりと、
もはやこれは芸術品ですね。
素晴らしい物を見せて頂きました。

ありがとうございます。

ボブ様過分なお言葉ありがとうございます。
今回もなかなか自分の思ったようには表現できず、あらためて自分の力のなさを思い知りました・・・。
これからもっと思いを表現できるよう、スキル習得に精進していきたいと思います。
ありがとうございました。

泣けた・・

ちょっと・・文章で泣かす手法やめてください(涙)
目頭熱くなりました。

ちゃんと文章とリンクしてる作例なんですね。

しかしちゃんと水表現してるなぁ。
文章に惹かれてて見落としがちでしたが
ズゴックもとても不思議な表現してますね。

完成お疲れ様でした!

うううう(TωT)

なんとも切ない思い出です。。
そんな思いを胸に、このヴィネットを形にしたわけですね。

なんかとても分かる気がします。
ワタシも、学校が休みじゃなかった日に自分の母親にシャア専用ズゴックを買ってきて!とムリヤリ頼んで、キットがよく分からず買ってきてもらえなかったのに、同じように悪態をついたような記憶が。。

後になってからああ、ホントアホや俺・・と思っても、遅いことが多いですもんね(TωT)・・・うう
そんな思いがう駆け巡りました。なんと言う秀作・・!

No title

いまだ夢の途中である
良いです!いろんな意味でグッときますね。
ダイバー達も素晴らしいと思います。

思い出

色々な思い出があるんですね。
このような機会でおじいさんにメッセージを伝えられて良かったのではないかと思いました。
感慨深いです。

コメントありがとうございます

akicyan様
いつもお世話になってます^^
過去に苦い思い出は誰しもあるのでしょうが、亡くなったひとへのそれは、いくら後悔してもしきれませんね・・・。
自分に出来ることは、もう二度と同じ過ちを繰り返さないことと、自分に関わっていただいている人たちへの感謝・・・。
それで自分が納得するしないに関わらず、それが人としての生き方なのではないかと最近考えるようになりました。
まだまだ成長しきっていない、その頃の子供のまま大人になってしまったようなものですが、糧として生きていこうと思い、歯を食いしばって仕事もやりつつ、プラモも楽しんでます^^

レオ様
このような稚拙な作品にお褒めいただき、ありがとうございます。まだまだ全てが中途半端ですので、これから皆様の素晴らしい作品に刺激を受けつつ精進していこうと思っています。ありがとうございました。

エムロボ様
コメントいただき、ありがとうございます。
まだまだな完成度ですが、おっしゃる通り、ここでこの作品を公開したことにより、この一件については、自分の中でもやもやしていたものがスッキリとしました^^
これでズゴックの呪縛から逃れられたような気がします。
もっともっとハッピーな作品をこれから作っていきたいですね^^

No title

gnjoyさま、始めまして。

作品紹介を読ませていただき、作品を拝見させていただきました。
全体に思い入れの有る情景を織り交ぜて、とても深い作品だと、まだ作品から受けた思いの余韻が抜けていません。
プラモ一つにも物語があるんだなぁ…。
私にとっての思い出のキットは何だろう?そんなことを考えてしまいました。
製作、お疲れ様でした。

まずは製作お疲れさまでした。少年時代の思い出話とは酒餅らしくて味わい深いです。作品解説もじっくりと読ませていただきました。田舎への帰省という一種の非日常で出会った「ガンプラ」の強い印象が、虫かごの中の深海というイメージに反映されているようで、「思い出」の重さと切なさ、大事にしている人への想いを、「引き上げ」に込められた作品に乾杯です。
ズゴックEのチョイスが、「平成元年発売だけど、ポケ戦シリーズは80年代の製品だ!」ということを静かにアピールしているようにも思われ、こちらも印象的でした。

oricha様、kongdora様へ

oricha様、コメントありがとうございます。
このような助長な作品解説までわざわざ読んでいただき、感謝です。
何事も、当時一生懸命だったものには思いが詰まっていますよね(^_-)
そんな思い出をくれたガンプラに今では感謝しています^^;

kongdora様、素敵な、いや詩的なコメントありがとうございます。
私は文章を書くのがたいへん苦手なんですが、kongdora様のように素敵で詩的な表現で他作品へコメント書けたらなぁと思っています^^;
いつも、他作品に対して「すげぇ!」「かっけ~!」ぐらいしか表現できず、気の利いたコメントができずに自分の語彙力不足を露呈するのが恥ずかしいがためにコメントが憚られているところです^^;
ありがとうございます。
ここのところ、自分の下手さ加減に嫌気がさしモチベーションが落ちていましたが、次回作への元気がでました(^O^)/
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